ロッドレンズは、円柱状または角柱状の形状をした特殊な光学レンズです。光学的機能は主に下記2つです。
①シリンダーレンズと同様で、平行光が円柱側面に入射するとライン上に変換した状態で光を広角に出射します。(図1)
⇒均一な線状のビームを生成し、精密な材料切断や溶接に使用します。
②ロッド端面から光を入射し、ロッド内部での全反射および端面での屈折で光を制御する。(図2)
⇒均一な光源の生成(プロジェクタバックライトや照明などに使用)します。
①シリンダーレンズ同様、側面の曲面での光の屈折現象により、光を制御します。曲面は一方向のみのため、その方向にのみ光の形状を制御します。
例えば、レーザー光を入射すると曲面方向にのみ光が広がり、ライン上の光を生成することができます。
②光の全反射と屈折の組み合わせにあります。入射した光は、ロッドレンズの側面で全反射を繰り返し、内部を伝播します。
この過程で、光の強度分布が均一化されます。ロッドレンズの端面から出射する際には、屈折によって光の進行方向が変わり、特定の形状の光を生成します。ロッドレンズの形状やサイズ、材質を調整することで、光の均一性や出射光の形状を細かく制御することが可能です。
ロッドレンズは、材質や形状によって様々な種類が存在します。一般的な材質としては、ガラスやサファイアなどが用いられます。ガラスは可視光から近赤外光までの広範囲な波長域で使用され、サファイアは高い硬度と耐熱性を持ち、高温環境や高出力レーザー用途に適しています。
形状による分類としては、円柱状のロッドレンズや角柱状のロッドレンズがあります。円柱状のロッドレンズは、側面の入射(ライン光線の生成)や端面からの入射(均一光源の生成等)に使用されます。角柱状のロッドレンズは、端面からの入射用であり特定の方向に光を拡散させるのに適しています。また、微小な光学系で使用されるマイクロロッドレンズやアレイ上に並べたロッドレンズアレイも存在します。
ロッドレンズの最大のメリットは、光の均一化能力と、特定の形状の光を生成できる点です。産業用照明においては、均一な照明を実現し、製品検査や画像処理の精度向上に貢献します。ラインセンサーにおいては、受光量の均一化により、測定精度を高めます。レーザー応用においては、ラインビーム生成により、レーザー加工や医療分野での応用を可能にします。
一方、ロッドレンズにはいくつかのデメリットも存在します。ロッドレンズは、一般的なレンズに比べて大型になる傾向があり、小型化が求められる光学系には不向きな場合があります。また、ロッドレンズの製造には高い精度が求められ、コストが高くなる傾向があります。さらに、ロッドレンズの特性を最大限に活かすためには、適切な光学設計と調整が必要です。
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