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光学レンズ設計の基礎

光学レンズの種類:アクロマティックレンズ

アクロマティックレンズは、色収差を補正するために設計されたレンズです。色収差とは、レンズを通る光の波長によって屈折率が異なるために、像がぼやけたり、色がにじんだりする現象です。アクロマティックレンズは、異なる屈折率を持つ2枚のレンズを組み合わせることで、この色収差を抑制し、鮮明な像を得ることができます。

アクロマティックレンズの特徴

アクロマティックレンズは、一般的に凸レンズと凹レンズを組み合わせた構造をしています。凸レンズは光の波長が短いほど強く屈折させ、凹レンズは光の波長が長いほど強く屈折させます。この性質を利用し、2枚のレンズを適切に組み合わせることで、色収差を打ち消し合うように設計されています。

アクロマティックレンズは、色収差を抑制することで、画像の鮮明度やコントラストを向上させることができます。そのため、カメラ、望遠鏡、顕微鏡など、様々な光学機器に使用されています。

アクロマティックレンズの仕組み

光は、プリズムを通すと虹のように色が分かれます。これは、光の色によって屈折率が異なるためです。

プリズムと光の分散

プリズムは、ガラスや水晶など透明な物質で作られた、三角柱などの多面体です。光がプリズムに入射すると、屈折して進行方向が変わります。このとき、光の色(波長)によって屈折率が異なるため、プリズムから出射する光は虹のように色に分かれます。これを光の分散といいます。

プリズムは、光を分散させることで、様々な色の光に分解することができます。この性質を利用して、分光器などで光を分析することができます。

レンズと色収差

レンズもプリズムと同じように、光の色によって屈折率が異なります。そのため、単一のレンズでは、異なる色の光が異なる位置に焦点を結んでしまい、像がぼやけたり、色がにじんだりする現象が起こります。これを 色収差 といいます。

アクロマティックレンズは、異なる屈折率を持つ2枚のレンズを組み合わせることで、この色収差を補正します。具体的には、屈折率が高く、光の波長が短いほど強く屈折させる凸レンズと、屈折率が低く、光の波長が長いほど強く屈折させる凹レンズを組み合わせます。

このようにすることで、凸レンズによって分かれた光を凹レンズで再び集めることができ、色収差を抑制することができます。

アクロマティックレンズの種類

アクロマティックレンズは、設計や用途によって様々な種類に分けられます。

Edmund OpticsのWebサイトでは、アクロマティックレンズを以下の4つの種類に分類しています。

  • ポジティブアクロマート:
    • 2枚構成で、全体として凸レンズの働きをするアクロマティックレンズです。
    • 可視光線全体で色収差が良好に補正されており、集光用途に適しています。
       
  • ネガティブアクロマート:
    • 2枚構成で、全体として凹レンズの働きをするアクロマティックレンズです。
    • ポジティブアクロマートと同様に、可視光線全体で色収差が良好に補正されています。
       
  • トリプレットアクロマート:
    • 3枚のレンズを組み合わせたアクロマティックレンズです。
    • 2枚構成よりもさらに色収差の補正能力が高く、球面収差やコマ収差も良好に補正されています。
    • 高精度な結像が求められる用途に最適です。
       
  • 非球面アクロマティックレンズ:
    • 非球面レンズを組み込んだアクロマティックレンズです。
    • 色収差だけでなく、球面収差も良好に補正することができます。
    • より高精度な結像が求められる用途に最適です。
       

アクロマティックレンズのメリット・デメリット

アクロマティックレンズのメリットは、色収差を抑制することで、鮮明な像を得られることです。しかし、アクロマティックレンズは、単レンズに比べて高価であるというデメリットもあります。また、色収差以外の収差を完全に補正できるわけではありません。

アクロマティックレンズは、色収差を抑制することで、様々な光学機器の性能向上に貢献しています。