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電子機器 生産委託・開発委託の基礎

EMS(電子機器受託製造サービス)とは?OEM・ODMとの違いを専門的に解説!

電子機器の製品開発や製造において、外部パートナーとの連携は効率的に生産には欠かせない選択肢の一つです。しかし、その委託形態には「EMS」「OEM」「ODM」といった類似した用語が存在し、その違いが分かりにくいものとなっています。
そこで、本記事では、電子機器の製造委託を検討されているご担当者様に向けて、EMS・OEM・ODMの各定義から、各委託形態のメリットやリスク、そして自社に最適なパートナーシップを見極めるためのポイントまで、専門的な視点から徹底的に解説します。

 

EMSOEMODMとは?それぞれの定義を解説!

まず、それぞれの用語の意味、定義を解説します。

EMSElectronics Manufacturing Service)とは?

EMSは「電子機器受託製造サービス」の略称です。単なる製造代行ではなく、電子機器の製造に関わる広範なプロセスを包括的にアウトソーシングする委託形態です。

通常、電子機器メーカーは製品の設計、試作、生産、配送、保守といった機能を備えていますが、EMSはその中でも特に生産部分をメーカーに代わって請け負います。

顧客から設計データや仕様書を受け取り、部品調達から基板実装、組立、検査、出荷まで、製造プロセス全体を代行します。注意したいポイントとしては、一般的にEMSでは設計を請け負わないことが多いです。

EMSの対応範囲など、下記記事でも詳しく解説しておりますので、こちらを確認ください。

 

OEMOriginal Equipment Manufacturer)とは?

OEMは顧客が製品の設計を行い、製造のみを外部に委託する形態を指します。顧客は、製品の仕様や設計図などをOEM事業者に提供し、OEM事業者はそれに基づいて製品を製造します。開発と設計の主導権は完全に委託企業側にあり、ブランド価値や製品の根幹となる知的財産は自社で保持しつつ、生産設備への投資を抑えたい場合に有効な選択肢です。

設計は顧客が行うという点は、EMSと同じですが、OEMは電子機器に限らず様々な製品の場合にも使用する言葉ですので、そこがEMSとは異なります。

 

ODMOriginal Design Manufacturer)とは?

ODMとは、顧客の依頼に基づき、電子機器の設計・開発から製造までを一貫して請け負う委託形態のことです。

顧客は製品に持たせたい機能や用途を決定し、要求仕様をまとめることで、あとはODM事業者に開発工程から任せることができます。そのため、顧客は開発にかかる時間やコストを削減することが可能になります。

また、自社がノウハウを持たない事業に進出する場合には、該当市場や技術のノウハウを持つODM事業者に依頼することで、製品開発や市場進出をスムーズに行うことができるというメリットがあります。

EMSとは異なり、設計も委託することができる点もポイントです。ODMの対応範囲など、下記記事でも詳しく解説しておりますので、こちらを確認ください。

 

EMSOEMODMの違い

まとめると以下のような違いがあります。

比較項目EMSOEMODM
設計・開発なしなしあり
製造カテゴリ電子機器電子機器を含む全般電子機器を含む全般

 

EMS(電子機器製造委託サービス)の委託先を選ぶポイント

  • 製品にあった委託先かどうか

依頼先から見て、どのような製品を製造したいのかまずはその点を明確にします。その上で、例えば電子機器であればEMS事業者の中でも、どのような製品において実績があるかを確認する必要があります。

一括りにEMS事業者の中でも、小型の電子デバイスの製造を得意としている企業もあれば、大型のものの組み立てを得意としているところなど企業によっても得意、不得意な分野があることがあります。

 

②委託する工程の範囲を予め決めておく

EMSであれば、設計の対応が難しい場合が多く、その場合はODM事業者を探す必要があります。もし、設計から委託したい場合は、電子回路・基板設計をはじめとした組み込みハードウェア開発、マイコンファームウェアなどの組み込みソフトウェア開発など、対応できる設計範囲も確認の上、適切な業者を決める必要があります。このように事前に、委託する工程範囲を決めておくことが重要です。

 

  • 生産キャパシティを確認する

もし生産が拡大した際も、柔軟に対応できる生産キャパシティをもった事業者かどうかを事前に確認しておくことが重要です。

生産を拡大したい際に、既に依頼した委託先の生産キャパシティに限界がある場合、再度委託先を探し直し、また一から製品設計からすり合わせを行う手間が発生してしまいます。

その他にポイントがありますので、詳しく下記で解説しておりますので続きはこちらをご覧ください。

 

電子機器における生産委託・開発委託の技術資料!

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