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電子機器 生産委託・開発委託の基礎

電子機器の検査工程と品質管理

電子機器の検査工程とは?

製造された製品が設計通りに動作し、所定の品質基準を満たしていることを確認するために行われる一連のプロセスを検査工程と呼びます。

電子機器の検査工程は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

1.電子部品の検査

電子機器を構成する部品一つひとつを検査する工程です。抵抗、コンデンサ、IC、トランジスタなど、様々な部品が使用されます。これらの部品は、外観、寸法、電気的特性など、様々な項目で検査されます。ただし、部品自体の検査は、電子部品メーカーにて行うことが一般的であり、電子機器メーカーでは行いません。

    2.実装基板の検査

    部品が実装された基板を検査する工程です。基板は、電子部品を電気的に接続するための土台となるもので、電子機器の心臓部とも言えます。

    • はんだ付け検査: はんだ付けの不良(はんだブリッジ、はんだ不足、はんだクラックなど)がないか、目視や自動光学検査 (AOI) を用いて検査します。
       
    • 部品実装検査: 部品の欠品、実装ミス、実装位置のずれなどがないか、目視や自動光学検査 (AOI) を用いて検査します。
       
    • 電気的特性検査: 回路テスターなどを用いて、基板全体の電気的特性が設計通りか検査します。

    3.完成品の検査

    組み立てられた完成品を検査する工程です。最終製品として、全ての機能が正常に動作するか、要求される性能を満たしているか、安全に使用できるかなどを確認します。

    • 機能検査: 製品が設計通りの機能を満たしているか、専用の試験装置を用いて検査します。
        
    • 環境試験: 温度、湿度、振動、衝撃など、様々な環境条件下で製品が正常に動作するか検査します。
        
    • 安全性検査: 製品が電気用品安全法などの安全規格を満たしているか、絶縁耐力試験、漏電試験などを行います。
         
    • 外観検査: 完成品の外観にキズ、汚れ、変形などがないか、目視や自動光学検査 (AOI)で確認します。
    検査項目検査方法説明
    外観検査目視検査、AOI製品の外観にキズ、汚れ、変形、破損などがないかを確認します。
    寸法検査測定器ノギス、マイクロメーター、三次元測定機などを用いて、部品や製品の寸法を測定します。
    電気的特性検査テスター電圧計、電流計、抵抗計などを用いて、電気的な特性を測定します。
    機能検査試験装置製品を実際に動作させ、機能が正常に動作するかを確認します。
    環境試験環境試験 chamber温度、湿度、振動、衝撃など、様々な環境条件下で製品を試験します。
    安全性検査安全性試験装置電気用品安全法などの安全規格に基づいた試験を行います。
    信頼性試験加速寿命試験長期間の使用に耐えられるか、加速寿命試験などを行います。
    はんだ付け検査目視検査、AOI、X線検査はんだ付けの品質を検査します。
    部品実装検査目視検査、AOI、X線検査部品の取り付け状態を検査します。

     

    品質管理体制

    電子機器の品質を確保するためには、検査工程だけでなく、品質管理体制も重要です。効果的な品質管理体制を構築することで、不良品の発生を未然に防ぎ、顧客に満足してもらえる製品を提供することができます。

    主な品質管理体制としては、以下のようなものがあります。

    • 品質マネジメントシステム (QMS): ISO9001などの国際規格に基づいた品質マネジメントシステムを構築し、運用することで、品質管理のレベル向上を図ります。
       
    • トレーサビリティ: 製品の製造履歴を記録・管理することで、問題発生時の原因究明を迅速に行えるようにします。